日本酒を美味しくする錫器の魅力

錫器の魅力

それぞれの料理や飲料に適した器があるように、「日本酒を飲む時は錫のグラスで」というのは、日本酒好きの間ではよく知られた話です。
錫の器は日本酒を美味しくするだけでなく、水を入れるとまろやかになり、お茶を淹れるとお茶の甘みを引き立たせ、お花を活けると花持ちが良くなるという魅力的な器。

錫器はおよそ1300年前に中国から日本に伝わりました。銀の次に高価な金属である錫は、神仏具として使用されたり、貴族や武士等の特権階級に重用されてきました。
近世に入り、日本でも錫の鉱山が開発されるようになると、錫器は広く庶民の間にも浸透していきました。しかし第二次世界大戦や、高度経済成長期にアルミやプラスチック製品が台頭してきたことで一般の家庭で錫器を見かけることは少なくなりました。

ですが、昨今の日本食や日本酒への関心の高まりと共に、また再び錫器への注目が高まっています。一流の料亭やお寿司やさんでは錫のお銚子や片口、ぐい呑で日本酒を提供しているお店が数多く見受けられますし、家で晩酌を嗜む際にと錫器をお買い求めなさる方々も多くなりました。

日本の錫器の安全性

時折「錫って人体に有害ではないの?」というご質問を頂きますが、錫が人体に害を与えることはありません。
錫が人体に有害だと勘違いされる原因は、昔は加工をしやすくするために錫器に微量に鉛が添加されていたことによるものです。

現在の日本では食品衛生法で飲食器への鉛の使用が禁止されているので、日本で作られている錫工芸品は安心してお使い頂けます。

錫の特長ー使い心地の良さ

錫は飲料を美味しくするというのみならず、金属なので割れないという良い特徴があります。割れないと言いましても、強い衝撃を与えれば凹みますが、その柔らかさゆえにまた修理することが可能です。また口に触れたり、手で持った際にすっと肌に馴染みます。

その使い心地は、Condé Nast Travellerの取材で当店を訪れた際、初めて錫器で日本酒を味わったライターのChris Schalkx(クリス・シャルクス)さんも、「もう錫の器以外で日本酒は飲まない」と言うほど、香りがエレガントになるとのこと。

SALUK で取り扱っている綾 METALWAREでは錫に銀を1%添加した錫板を使用しております。
合金にすることで適度な強度とハリを与え、美しい錫器になります。

錫のぐい呑の画像です

錫は使い続けると輝きが落ち着き味わい深くなります。光沢がある状態の方がお好きな場合は、柔らかい布にピカールなどの研磨剤をつけて拭きあげればまた光沢を取り戻します。

丁寧にお使いいただければ一生、いや次の世代にも引き継ぐことができる錫の器。
あなたもSALUK でお気に入りの錫の一品を見つけてみてはいかがでしょうか。

SALUK / 綾 METALWARE 甲斐可奈子
写真  Masae Kobayashi / Masami Tsuji

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