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2月某日、度々楽しげなイベントにお誘いくださる京都のグルメライターのイチノさんのお計らいにより、大津市歴史博物館の学芸員である横谷氏の解説付きで蘆花浅水荘(ろかせんすいそう)を見学できるという貴重な機会を賜りましたので、夫と行ってまいりました。
蘆花浅水荘は明治から昭和にかけて活躍した日本画家、山元春挙の別邸。
お恥ずかしながらこの時まで存じ上げなかったのですが、二條若狭屋やくりやの掛け紙等を描いておられた方と聞いてピーン。
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『渋皮の むけて 丹波の 男ぶり』
横谷さん曰く、洒落を好んだ春挙さん。
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訪れた方々が「ヌキナカイオクですねー」と。
(ヌキナカイオク??)とメモして後で調べてみたら、江戸後期の文人で儒者であり、書や画、詩に秀でたという貫名海屋の書でした。
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書院の天井の桟。柾目、板目が美しい材を選りすぐっているとのこと。
書院窓の枠も外側だけでなく内側が丸くなるように加工しているなど、こだわりが凝縮。
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残月の間のうめ柱。
聚楽の壁に半分〜3分の2程埋まっています。
このような意匠は初めて目にしました。
ちなみに節の多い柱は関西よりも北陸で好まれるとのこと。
写真左下の入り口から二畳ほどの部屋に入ることができ、横谷さん曰く「春挙の引きこもり部屋」だそうです。笑
若くして成功を収めた春挙さんはかなりの数のお弟子さんがいて、電話が一般的ではなかった時代には町に出ている春挙さんに来客ありと伝えるためだけのお弟子さんもいたとか。
人気者が故にたまには一人になる時間が必要だったのでしょうね…
お弟子さんたちにはご飯も食べさせていたようです。
器がでかい!!
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竹の間の図面竹。まだ柔らかい筍のうちに四角い木枠をはめて、その形状に沿って成長させることにより四角い竹となるそうです。
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こんな面白い竹の使い方もあるんだなぁ…
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庭師の妻としてはやはり石が気になる…笑
角の取れた石の感じといい、並べ方や目地の具合といい、かわいらしくてとても好みでした。
今回横谷さんの解説がなければ、気づかなかった数奇ポイントがたくさんありました。
春挙さんが過ごした空間で、人間性が垣間見れるようなエピソードも併せて聞くことができたことでより山元春挙という画家についての興味が膨らみました。
作品を鑑賞できる機会がありましたらぜひ観に行ってみたいです。
横谷さんをはじめご一緒した方々からも、知らない単語がたくさん出てきて、私にとっては知識の大洪水でした。
これからもっと芸術に触れる機会を増やして自分の感性を高めていけたら、と感じた贅沢な1日でした。
蘆花浅水荘は凝ってないところがないという程に、数奇で溢れていました!
見学は予約が必要ですが、ぜひ機会を見つけて訪れてみてはいかがでしょうか。
最後に一言、春挙さんめちゃイケメンです✨
SALUK店主 甲斐可奈子
【蘆花浅水荘】
所在地:滋賀県大津市中庄1丁目19-23
電話:077-522-2183 ※要予約