【華甲茶会】錫石目多面建水の制作

今年もあと僅かとなりました。
振り返ると、SALUK でもたくさんの出会いがあり、また金属工芸作家としても日々の制作の他、いくつかのオーダーメイド品の制作に携わりました。

これは建水の画像です

オーダーメイドの品々はご依頼主のご意向や想いをどう作品に反映させるか悩みますし、何もない0の状態から制作するのでエネルギーが必要です。
それゆえに完成してご満足していただけた際の喜びは大きく、作家として一歩成長したと達成感を感じることができます。

これは建水の画像です

錫石目多面建水。
2023年の私のハイライト的作品です。

川村文化芸術振興財団の川村喜久様よりご注文いただきました。
川村様とは、「若きつくり手のスタートを支援する」という目的で川村文化芸術振興財団主催、ザ・クリエイション・オブ・ジャパンの協力により実施されるファースト・パトロネージュ・プログラムの2018年度に参加させていただいたことがご縁の始まりです。

この夏、同じくファースト・パトロネージュ・プログラムでお世話になったSato Art Worksの佐藤様より「錫で建水はできますか」とのお問合せがありました。
お話を伺うと、2023年秋にコロナで延期になってた川村様の還暦の御祝、「華甲茶会」を開催するということでファースト・パトロネージュ・プログラムに参加した作家を中心に、お茶会でお使いになる御道具を制作されているとのこと。
錫で建水を制作したことがなかったので少し不安はありましたが、興味深いと思ったので挑戦することにしました。
そして幾度目かの話し合いの末、お茶会を監修なさっている那須屋の野口様の「多面体がいいのでは」というアイデアを基に、360°どこから見ても面白い表情が出る様に意識して建水をデザインしました。

これは建水の画像です
これは建水の画像です
これは建水の画像です

デザインは決まったものの、これをどう形にしていくかということも難しいところではありましたが、庭師で茶道を嗜む夫とも話し合ってヒントを得て、無事に作り上げることができ、お気に召していただけたとのご連絡をいただいた際は心底ほっとしました。

皆で共通の目的のために作品を作り上げていくという過程にもたくさんの学びがありましたし、その結果、他にはない建水を作り上げることができたのは大きな喜びです。
私一人では生まれなかったであろう錫石目多面建水は、自分の中でも思い出に残る一品となりました。
私のことを想い出してお声がけくださり細やかなコーディネートをしてくださった佐藤様、豊富な経験と知識からアイデアをくださった野口様、そして新しいことに挑戦し、成長する機会をくださった川村様に心から感謝申し上げます。

どうもありがとうございました。

SALUK / 綾 METALWARE代表 甲斐可奈子

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